ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~

手を伸ばして遼さんを制しようとしても、すぐに両腕を取られてしまう。

「無駄」

そんなこと分かってるけど、一応の抵抗だよっ。
なんて、余裕をかましてられるのもここまで。
遼さんの片手に両腕が戒められると頭の上に上げられ、ソファーの肘掛けにもたれかかるように身体を倒される。

「りょ、遼さん? この状態はちょっと……」

「…………」

顔が少しづつ近づき始め、身体が震えた。

「遼さんっ、分かったから、ちょっと待ってっ!!」

「待てない」

「こ、困ったなぁ~。冗談キツイよぉ」

「喋りすぎ」

顎を掴まれ軽く上を向かされると、魅惑の目に捕まった。
もう何も話せなくなってしまう。それどころか、瞬きもできないし身体も動かない。完全に遼さんの思うままだ。
さっき指を舐めたみたいに赤く潤った舌を出すと、物欲しげに唇を舐める。
身体がじわっと熱くなり始め、中心が疼く。
それを悟られないように顔を背けようとすると、甘い唇に遮られた。
同じココアの香りがする。

「逃げたら、またキスするから」

それでもいい……と思いながらも、素直に逃げるのを止めた。

「何で顔、真っ赤にしたの? てか、今も真っ赤だ」

私の頬を愛おしそうに撫でる手に、自分から顔をすり寄せてしまう。
こんな時、自分の意志とは関係なく、身体が勝手に動いてしまうのは本当に困る……。



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