ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~

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今日から一週間前、彼女が夜の10時過ぎに慌てた様子で店に駆け込んできた。

「マスター!! 来週の月曜日、予約できる?」

いきなりどうしたって言うんだっ。
この店に3年近く通って来てくれてるけど、今まで一度も予約なんてしたことなかったよな? 
まさか、男とのデートに使うつもりじゃないだろうな……。

「で、できるけど……。何か大事な日なの?」

おいっ、俺、焦るなよ。まだ、そうだと決まったわけじゃないだろう。
心の中で、自分をそう落ち着かせる。

「枝里の誕生日なんだ。ここでゆっくり飲みたいって言うから……」

なんだ、枝里ちゃんの誕生日か……。
あんまり俺を動揺させないでくれよ。
と言ったところで、彼女は何のことか分からないだろうな。
思わず彼女の前で、苦笑してしまう。

「マスター?」

「あっごめんごめん。来週の月曜日だったね。とびっきりの料理とカクテルでおもてなしするよ」

「うんっ。よろしくねっ!」

眩しいくらいの笑みを、俺に向けた。
彼女には、やっぱり笑顔が似合う。

来店時間とだいたいの予算を打ち合わせすると、彼女はひらひらと手を振り帰っていった。
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