ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~

席を立った修さんが隣の部屋に入って行くと、何かを探しているのかガタガタと引き出しを出し入れする音が聞こえてきた。格好派手にやっていることに二人で顔を見合わせ首を傾げていると、修さんが部屋から顔だけ出した。

「遼、ちょっとこっち来い」

「は、はい……」

少し不安げな顔をしながら立ち上がると、「待ってて」と一言残し隣の部屋に消えていった。
全く音がしなくなった隣の部屋で何が起こっているのかさっぱり分からない。でも何となく会話が聞こえてくる?
少しでも何か聞こえないか耳を澄ましていると、突然大きな声がこっちの部屋まで響いた。

「修さんっ、何持ってるんですかっ!?」

「もう解禁なんだろ?」

「解禁とか言わないでくださいよ……」

最初こそ興奮気味で叫んだ遼さんだったけれど、今のはかなりテンション下がってる気がする……。

「遼さん? どうかしたの?」

心配になって、思わず声をかけてしまった。

「何でもないっ。すぐそっち行くから、そこで待ってて」

何? その慌てよう。なんでもないって感じじゃないでしょ。
すごく気になるけど、待っててって言われたし……。
仕方なく悶々とした気持ちで待っていると、遼さんが少し赤い顔をして部屋から出てきた。
何で赤い顔?
不思議に思い、遼さんの顔を見続ける。

「な、何?」

「どうして顔が赤いのかと思って」

「赤い? へ、部屋が暑いからじゃないかな」

下手な言い訳……。
私と二人っきりの時には強気の遼さんも、修さんの前では歯が立たないみたい。
結局、何があったのかは分からないけれど、言いたくないものを無理に聞くのはあまり好きじゃない。遼さんと修さんの顔を見ていても、そんなに気にするようなことでもなさそうだし……。
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