精神科に入院してきました。
体格のよい男性ナース、ことN看護師が話を聞いてくれたおかげで、少し楽になった。

 本当に馬鹿なことをしたな。
Iさんどうしてるかな。
Hちゃん、私が実家に行ったきり帰ってこないことをどう認識しているのかな。

Iさん、私に裏切られた、とか、捨てられた、とか思ってやけを起こしたりしていないかな。


 ……やけを起こしたのは私だ。
だからここにいる。


 明日はお風呂に入れる。あさってはMドクターがいるから多分診察もある。
面会が許されたとき、Iさんをどうフォローするか考えておかなきゃ。



 大丈夫、大丈夫だよ、私。
 生きてる、生きよう。精神保健福祉士になるんだ。



考えること:これからの長い生活をどうするのか。実家に戻るのか、Iさんと暮らすのか、とりあえずHちゃんと、そのあと一人暮らしをするのか。



 Hちゃんは年末に結婚が決まっていた。
だから、私たちのルームシェアは11月いっぱいの予定だった。


自殺しようとした原因:母に、Iさんとの交際を認めてもらえないことが、はっきりわかってしまうのが怖かった。


実際問題:
①今、Iさんはどうしているのか?
②Iさんが無事だったとして、これから先私と彼はどうなるのか?



一番良いのは……
そうだ、悲しいけれど、そう、これしかない。
だってIさんは、きっともう、どこか遠くへ旅立っているだろう。


身軽で、執着のない人だから。
私が自殺しかけたなんて聞いたらなおさら、辛さを忘れるためにどこかへ行って、仕事に打ち込んでいることだろう。


……終わった、と思った。
一年間の片思いは、一瞬だけ実り、そして私自身の手で握りつぶした。


実家に戻るしかない。勉強して、少しずつ働いて、お金を家に入れて、また、お母さんとお父さんの笑顔を取り戻すんだ。



 そんなに難しいことじゃ、ないよね……
     
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