精神科に入院してきました。
リカちゃんは、いろんなことを教えてくれた。


彼女は小銭を自分でもっていて、いつでも自販機を使えた。
彼女は夜の一時間半だけ携帯も使えた。
メイクもOK、ピアスも許可。
ただし、スタッズのついたような「凶器になるうるもの」はNG。


それらの自由度は、全て主治医の判断らしい。




そもそもリカちゃんは、入院の常連らしく、多くのナースたちより病院の変遷に詳しかった。

こんなふうに書くと、リカちゃんは健康に思われるかもしれない。


けれど、彼女の長袖のジャージの下には、見るのも無残な無数の切り傷がついていた。


それも、私がやったことのある、皮をうっすら切る程度のリスカじゃない。


たくさんのあざが残って、何度も切り刻まれた皮は極端に分厚くなって、そう。


やはり、彼女も病気なのだ。


だけど、私たちはお互いにお互いの病気には触れず、ただ、「まともに日本語の通じる同世代」として仲良くなった。


そしてリカちゃんのおかげで、ほんわかした中学生に見えた少女とも自己紹介しあい、彼女が知的に遅延している20代だと知って驚いたり、廊下を徘徊しているおばあちゃんは他人の部屋の他人のベッドで寝るから要注意だと教えてもらったり、ともかく心の準備が出来たのだった。




おかげで、そのおばあちゃんが男子トイレに入っても少し驚くだけで済んだのも、事実。



しかしながら、私はこれからこの「本館閉鎖病棟」と呼ばれるところで、実にディープな体験をする。



2013・1・4 2:24
はなの
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