雨降って、血固まる。
私は頷く事もせずに立ち上がった。



男は私の意思を感じ取ったのか、私に鴉の傘を握らせ、歩き出した。



雨が降っているにも関わらず、男の足元からは本来聞こえてくるはずのピチャピチャという足音は聞こえてこない。



私は小走りで、懸命に男の背中を追いかけた。
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