† of Pupil~瞳の魔力
今僕の家族は香澄姉さんだけだ。

けど……もしも姉さんが僕の三つ目についてなにか知っていたら、教えてくれていたかは微妙だ。

ほんの少しのことで僕が動揺すると思っている姉さんのことだから、絶対、僕が人間じゃないなんて事実、教えたがるはずがない。

逆に、姉さんがまったく僕の三つ目について知らないという可能性も、まったく否定することはできない。

とにかく、僕が人間じゃないということを知らない人はもちろん、知っている人すら、僕にその事実を隠してきた。

伝達されることがなく、気付かせてもらえなかった。

そんな世界にいる僕が、自分から秘密の庭へ踏み込んだと知れたら……香澄姉さんなんて卒倒するかもしれない。

余計な心配させたくなかったら、今日知ったことは本当に、僕の胸のうちだけに留めておくのがいいだろう。

どうして教えてくれなかったのとか、僕が人間じゃないって知ってた? なんていう糾弾や質問は、絶対にするものじゃない。
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