† of Pupil~瞳の魔力
ビデオが高速で巻き戻されるような光景。

すべてがほんの一分足らずのうちに、元通りになっていた。

「な、なにが、どうなって……」

驚きながら、あの人が何者だったかを思い出す――

「もしかして、魔法……!」

ところがデュオに肩をすくめられた。

「魔法なんて、そんな高等なもの僕には使えないんだよ。魔術すら僕には向かない。公式は苦手でね。星を見るのも好きじゃないし、定義付けなんて面倒なんだ。

だからこれは、魔法よりもずっと程度の低く、けれど神秘的なもの、かな。

そうだね……言ってもわからないだろうから要約してしまうけど、つまり、命令しただけだよ」

「命、令?」

「そう、さっきの大竹くんも一二三くんも同じだよ。起きなさい、元通りになりなさい、ってね。それだけさ」

パン、パン、とそして彼は手を打ち鳴らす。

「では、本件はこれで終了。解散だよ、はい、解散。かいさーん」

その乾いた音は、夜空高く、本当に高く、響いていった。
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