とびらをあけて~大人になる日~
とびらをあけて
(とびらをあけて。

君が大人になるひ、

もう一度、会えるから。

だからそれまで、ぼくのこと、忘れずにいてね。)


「またここに、戻ってきたね。……どうして泣くの?」


「ごめんね。約束したのにごめんね。忘れちゃってごめんね。

いつも一緒にいてくれた、あの子は――、君だったんだね?」


「どうして見せたかわかるよね。

ぼくのことを忘れたって、ちっとも悲しくないんだよ。

君は一人で歩いていける。ほら、扉があらわれた……!」


*~*~*~*~*~*

もんばんさんは、ちいさくくびをかしげました。

なつかしい――、しょうじょをいつもおうえんしてくれていたときのくせでした。

*~*~*~*~*~*


「ぼくのことを思い出してくれてありがとう。

ただのぬいぐるみの、言葉をきいてくれてありがとう。

一緒にいられるだけで嬉しかった。

一番幸せな時間だった。

その次に幸せなのが、君のことを思い出している時。心の中で応援している時。」


「私、大人に、なるよ。おとなになりたい。――扉、開けるね。」
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