Christmas
Christmas

「おまえさ、男つくんね~の?」


 アップルティーの甘い香りがただよう部屋で、窓からの見慣れた風景を眺めながら、俺はそう、あいつに訊いた。


「えっ? ああ、うん」


 すぐさま定位置のソファから、そんな気のない返事が返ってきて、俺は人知れず、落胆した。


「おまえさ、クリスマスとか、寂しくね~の?」


「別にぃ。一人で映画観てる方が気楽~」


(¯∀¯)


 きっと、顔文字で例えるなら、今の俺、こんな顔だな。


あいつ、語尾に“♪”マークつけて、簡単に返してきやがった。

「今年予定ね~なら、俺とすごさね?」


 果敢にもアタックしてみる。


「え~、何でぇ? あ、もしかして、ふられた?」


(∋_∈)


 ――玉砕!


「こっちからふったんだよ」


「あっそ」


 返事に明らかに“どーでもいい”って感情が乗っかってる。


だけど今年の俺は、引き下がらなかった。


「おまえ、毎年、レンタルショップやDVDと過ごしてんじゃね~かよ。俺なら、もっと楽しい過ごし方、教えてやれるぜ?」


「……ホテルでエッチ?」

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