斜め上75度の景色。
あなたに



「それ…雛子が言う?」



「ううん…言っちゃあいけないね」



「じゃあ…なんで言うんだよ」



「ごめんね…」



「雛子は…お前は……結花が告白して来た時、結花を勧めたのはお前だぞ?」


次郎の声が震えてる。




「うん…覚えてるよ」



「じゃあっ、何でっ…訳分かんねーよ」



「……」



8ヶ月前、あたしたちの学年の引退が決まった大会の日の帰り道。



あたしは次郎の隣りで大泣きしながら帰っていた。




『じろー!負けちゃったよー』



『まぁ、しゃーないんじゃね?お前スタートダッシュで転けちゃったし』



『そんなこと言わないでよ!

緊張しすぎちゃって転けちゃったんだから!』



『大丈夫だ、雛子の足じゃあ、あいつらにはきっと勝てなかったから』



『それフォローになってないから!』



次郎のおかげで引退が決まったくせにそこまで後悔せずに終われた、あの日。




『なぁ、引退祝い何処でやる?』



『まず祝いじゃないからね!』



『うるせーな、どこでするかって』



『えっとねー『あ、あのっ』



後ろから可愛らしい声が聞こえた。

振り返ると、お団子の顔を真っ赤にした声と同様、可愛らしい女の子が立っていた。


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