『武士ドルが斬る!?』〈前編〉


 「寺にもっと火を放て!
 敵を1人も寺から逃すな!」



 わしの案に味方の者は…またおかしな事をと思い渋々寺に火を放った。


 【人間五十年】


 人間五十年‥。

 下天の内を‥。

 くらぶれば‥。

 無限の如くなり‥。

 ひとたび生を得て‥。

 滅ばせぬ者の‥。

 有るべきか‥。


 幸若舞:『敦盛』の舞に合わせて敵をなぎ倒す。


 炎は…やがて天高く一筋の柱を作り登る龍神をみた。


 「腹を切る…。
 首を落とせ…。」


 敵に追い詰められわしは覚悟を決めたフリをした。


 「信長…本能寺において討ち死にと伝えろ!
 あとは…サルがどうにかしてくれる…。」

 サルに会わせたのも吉乃だったな…としみじみ思い出し焼け落ちる壁に吉乃の姿を思い浮かべた。


 「いざ…参らん!」


 腹を切るフリをして…横腹に刀を忍ばせる。


 それに気付いた見方のなりをした敵が切りかかってきた時に素早く喉をかっきり首を落とした。


 「この信長に成り代わりたかった…お前の夢を叶えてやる…。
 火薬をもて…!?」


 わしは僧の服に急ぎ着替え…火薬を放つように煽った。


 火薬を信長として死んだ変わりの者の遺体に拝みながら弧を描くように蒔いた。


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