ふたり輝くとき
けれど、すぐにサラがユベールの背中に手を回してきて、ユベールを拒絶した訳ではないのだと理解する。

「このお城にはいたくない。ここは、光のお城じゃない」
「うん……」

震えるサラの背中を優しく撫でながら、続きを促す。

「どこか、遠くに行きたい。誰も、私を知らないところに」
「うん。じゃあ――」

サラが「帰りたい」と言ったとき、言おうとした言葉。今なら、誰にも邪魔されることなく、躊躇することなく、言える。

ユベールの、本当の気持ち。

「一緒に逃げよっか……?」

そう言うと、サラがユベールから身体を離した。

「ユベール、様……?」
「僕は本気だよ」

信じられないものを見るような目で、サラがユベールを見つめている。
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