ふたり輝くとき
それはアンナのわき腹に刺さり、赤いドレスが更に紅く染まっていく。アンナは口を開いたまま声も出せずに掠れた息を吐き出した。

「や、やめて!やめてください!ユベール様!」
「サラ。いい子にしててって言ったよね?」

サラがユベールの後ろから抱きついてくる。ユベールは振り向かないまま、できるだけ冷たい声を出した。

「でもっ!こんなのはダメです!貴方は本当にそれで救われるの?貴方は言ったわ。私が影を照らしてくれるって!それだけじゃダメなのですか?偽物でもいいから、ううん、貴方と一緒に居られたらそれで全部が本物になるのに!」

ユベールはサラの手を解いて振り向いた。

サラの顔は涙でぐちゃぐちゃになっていて、でもそれが……とても綺麗で。彼女にこの光景を見せることは、避けなければならなかったけれど。もう、止まらない。

「サラ。言ったでしょ。僕は君のように優しくはなれない」
「ユベ――っ」

チュッと、唇に触れて彼女の身体を突き飛ばす。先日の戦闘のときと同じようにサラにだけ密閉の呪文を施して。

「ユベール様!」

サラが光の壁を叩いて叫ぶ。それを遮るようにユベールは大きく叫んだ。

「さぁ、幕開けだよ?黙って殺されるのも抵抗するのも自由だけど、結末は“破壊”だ!」

そして、ルミエールの謁見の間で大舞台が始まった――

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