ふたり輝くとき
「――っ」

ユベールはパッとクロヴィスから手を離し、サラに駆け寄った。

「サラ……」
「っ、ユベール、様……ユベール様…………っ、ユベールさ、まっ」

何度も、何度も……ユベールの名を呼ぶサラ。ユベールは彼女の身体を引き寄せて、頬を擦る手を掴んだ。

「そんなに擦ったら、傷つくでしょ」

ユベールは唇でサラの涙を拭っていった。

「ユベール様っ」
「ん?」

ユベールに抱きついてきたサラの背中を撫でて続きを促した。

「怖かった……っ!私、私……お父様のこと、誰なのかって……っ、怖くなって、それでっ……」

サラの震える声に、ジャンを剣で貫く前の彼女の表情を思い出す。怯えていて、その美しく澄んだ青い瞳が翳っていたこと。

サラは、父親を拒んだのだ。それは……今までのサラだったらありえないこと。

「こんなんじゃ、貴方を照らしてあげられない!私っ、私は――っ」

ユベールはサラの唇を自分のそれで塞いだ。

「……僕の、せいだね」

サラの輝きが一瞬でも陰ったのは、ユベールのせいだ。自分のことしか考えていなかったから。いつだってユベールは、自分の気持ちばかりをサラに押し付けていた。

サラがそれを……優しく受け止めてくれるから、甘えていた。
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