ふたり輝くとき
「待ってよ!失敗したら、サラはどうなるの!?」
『失敗はしないよ。君だって生きてるでしょ?僕は鏡を使ったけどさ』

そう言われて、ユベールは昨日の謁見の間で自分の気が鏡に吸い込まれたことを思い出した。

『あぁ、心配しないで。吸収した後、反射して戻しておいたから。僕のチャクラは君にちゃんと根付いているみたいだし』

ユベールは複雑な気分になった。

別に力を失っても構わない。無理矢理に詰め込まれたものなど、煩わしいだけだった。だが、今はサラを守るために力が欲しいという思いもあって。

「サラ様をお守りするには、必要かもしれませんよ。貴方が……私の察する通りのことをするおつもりならば、尚更」

それまで黙って成り行きを見守っていたクロヴィスが静かに言った。ユベールはチラリとクロヴィスに視線を向けて、すぐに戻した。

またユベールの心を見透かして……けれど不思議と、ムカつく、とは思わなかった。

「……うん」

ユベールはかすかに声を出す。そして――

『じゃあ、いくわよ――デジネール』

サラ女王の声が響き、サラの額がゆっくりと優しい光を放ってユベールの部屋を照らした。
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