ふたり輝くとき
『でもさ、ユベール。僕やサラのチャクラは本来後世に残るものではなかったんだよ。僕らが死ねば力も失われる。僕はそれをあるべき姿に戻しただけだ』
「でも、僕のチャクラはそのままにしていくんでしょ?」

それでは都合が良過ぎるではないか。サラを蝕むチャクラは“元に”戻して、ユベールに害のない彼のチャクラはそのままに……

すると、ユベール国王はクスクスと笑い出した。ユベールは眉を顰める。何がそんなに可笑しいのだろう。

『ユベール。君は真面目過ぎるんだ』
「冗談やめてよ。僕が真面目だって?ありえない」

変なことを言われて鳥肌が立つ。

『真面目だよ。君は、本当は持つはずのなかった力を疎んでいた。そして、やり方はどうあれ、すべてを壊して正すという道を選んだ……違う?でもね、僕の力はただ風属性を持つというだけで扱えるものじゃないんだよ。君が呪文を使いこなせるのは君自身の才能。僕のチャクラがなくても、君は変わらずルミエール最強の王子と呼ばれただろう』

正す、という言い方が合っているかはわからないけれど、確かにユベールはすべてを無に返すことを望んでいた。
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