ふたり輝くとき
「タイムリミットは、王位継承の儀――ダミアン様の60歳の誕生日パーティだ。それまでにユベール王子を殺めなさい」

全くサラの質問の答えになっていない。

「お父様、私が聞いているのは――」
「お前は俺に言われたことをやればいい。理由など、お前には必要ない」

やはり、ジャンはサラの質問に答える気はないらしい。

一体、何が起こっているというのだろう。

戸惑うサラに、イライラしたようにジャンが続ける。

「お前はユベール王子の寝室にも怪しまれることなく入れるようになった。一番無防備な時間を一緒に過ごせる」

だから、殺せと?けれど……

「待ってください!そんなことできません!それにユベール様は、今のルミエールで最も力のある方だと言われているのですよ。それはお父様もご存知でしょう?」

ユベールは存在する光の呪文のほとんどを使いこなすと言われている。現代の呪文から、遥か昔に存在していたが今は誰も使えないと言われる古代ルミエールの呪文まで。城下町に出たときに使ったレフレクシオンがそれだ。

そんなユベールを殺める?サラが?

「知っているから言っている。まさか、学校で習った呪文を使えと言っていると思っていたわけではないだろう?そんなものは使えて当然だ」

確かにサラは呪文が使える。その才能を知った父に学校にも通わされた。それが今日という日のためだとは知らなかったけれど。

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