ふたり輝くとき
ユベールはフッと息を吐き出して、割れた窓へと近づいていく。

この距離で一瞬にして粉々になった窓。破片は一様に小さくて、ユベールの力とは少し質が違うようだと思った。繊細、というのだろうか。ユベールの場合はもっと派手に割れる。

唯一、ユベールを止めることのできるかもしれない存在。

「クロヴィス、また覗き?ホントに性格悪いね、君」
「片付けますので、退いていただけますか?」

違和感なく部屋に入ってきたクロヴィスに、ユベールは舌打ちをしてドサッとソファに腰を下ろした。

「貴方と、同じなのですよ。サラ様も、ご自分の力を――」
「だから僕とお似合いだって言いたいの?」

ユベールはクロヴィスを睨みつけた。そんな、薄っぺらいつながりなどいらない。血のつながりでさえ鬱陶しいというのに、なぜ他人と慰めあわなければならないのだ。

「そうではありません。私は――」
「黙れ」

低く、唸るようなユベールの声にクロヴィスはようやく口を噤んだ。

「本当にムカつく。この国にはバカしかいない」

醜い争いに、自分がより強い武器を持つことしか考えていない醜い人間。何もかもが“光の国”にはそぐわない闇の中にある。

力を手に入れたい誰もが持つ愚かな夢も。

その夢とやらに利用された、ユベールもサラも。

みんな、壊れてしまえばいい――
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