ふたり輝くとき
「そうそう、これ……」

アンナは持ってきていた小さな箱をテーブルに置いて蓋を開けた。中にはいくつか小さな瓶が並んでいて、それぞれ色の違う液体が入っている。

「夜のお遊びがもっと楽しくなる魔法でしてよ」

サラは声が出なかった。

そこまでして、サラとユベールに子供を早く儲けて欲しいと――権力を握りたいと思っている目の前の人間に何と言葉を返せばいいのかわからない。

「この桃色のがいつもより気持ち良くなれるもので、こっちは……あぁ、ユベールはきっと効果も使い方もわかっていると思うわ。貴女はこれを持ってユベールの寝室へ行くだけでいいの」

簡単でしょう、と妖艶に微笑んでアンナは箱を閉じた。サラが震えていることにも気づかないようだ。

「ユベールにも伝えておきますから安心してちょうだい。それからね、こちらの少し濁った青色のお薬はダミアン様にお呼ばれしたときに使いなさい」
「ダミアン、様……ですか?」

突然出てきた国王の名前。サラは思わず聞き返した。

「えぇ。ダミアン様のお部屋へ招かれたら逆らってはいけません。あの方は従順な女性が好みでしてよ」

一体、アンナは何の話をしているのか……

サラが困惑しているとアンナが立ち上がってサラの座っているソファへと座り直した。サラの頬を撫でて妖艶に微笑む。
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