君と、世界の果てで


わかってんじゃねぇか。


嫉妬からか、ちょっとしたイタズラ心が生まれた。



「これもいるか?」



俺は、陸のリングをした右手を突きだした。



「それは……いいです。翼さんがしてくれた方が、陸も喜び……」



深音の言葉の途中、突きだした右手で。


彼女を、自分の胸に引き寄せた。



「あっ、あのっ、翼さん!?」



ふわりと、いつもの甘い香りがする。



「泣ききってから、続きをやれ。

そんなんじゃ、いつまでたっても終わんねぇ」


「ふぁ、あのっ……苦しっ……」



この前驚かされた、仕返しだ。


……に、しても。


本当に細えなぁ。


のわりに、胸は大きいんだよな。


トクトクと、その大きさのわりに、控えめな鼓動が伝わってきた。


やべ。


恥ずかしくなってきた。


やっぱりこういうのは、陸の専売特許だ。



「ビックリしたか?」



体を離すと、深音は、真っ赤な顔でぷはぁ、と息をついた。


< 126 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop