君と、世界の果てで


「あたしね、クォーターなんです」

「は?何だ、いきなり」



そうなのか。


だから、こんなに目鼻立ちがハッキリしてるのか。



「昔から、自分の意思とは関係なく、目立っちゃって」


「だろうな」


「小さい頃から、学芸会では、いつも主役でした」



思わず想像して、笑ってしまった。


小さな深音が、白雪姫なんかやったら、似合いすぎだろう。



「まぁ、そうなると……自然、他の女子から、風当たりが強くなるわけです」


「……」



そうか。


確かに、自分の高校時代にも、そんな奴いたな。


何もしてないのに、やたら目立って、いじめの標的にされる。そんな奴。



「陸には、高3の時に出会ったんです。

陸のバイト先の、レコード店で」


「そういや、バイトしてたな」


「陸は、あたしの見た目より、声を褒めてくれた」


「…………」



先日めそめそ泣いていた瞳は、今は強く前を向いていた。


< 132 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop