君と、世界の果てで


俺を見上げる深音の金髪に、光が反射し、七色に光る。


……どんなイルミネーションより、綺麗だ。


見とれてしまっていたら、突然深音が口を開いた。



「あたし、めそめそするのは、今日で終わりにします」


「えっ?あ、あぁ……無理すんなよ……」


「大丈夫です。

陸も、心配してるだろうし」


「そうか……って、オイ!」



気づけば、先ほどの控え室と同ように、手を握られていた。


その指先の冷たさに、驚く。


そういやさっきは、グローブしてたもんな。


しかし、その指の細さに胸が高鳴ってしまい、すぐに冷たさは気にならなくなった。



「クリスマスプレゼント、下さい」


「はぁ?」


「この指が、ほしい」



俺を見上げる深音の瞳はイルミネーションを反射し、直視できないほど眩しく輝いた。



「これからも、翼さんのベースで、歌いたいから」


「…………」


「他のベーシスト、探さないでも、良い?」



お願い、と微笑む。


< 141 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop