君と、世界の果てで


「そうか……」



立ち上がって、深音の頭を撫でた。


それ以外、どうしていいかわからなかった。



「智は……陸が死んだのを良い機会だと思ったんだな」



深音が、黙って涙を流した。



「前から、お前を狙ってたのか」


「……そうみたいです」


「思い通りにならなくて、ストーカーと化した、か……」



彼女に惹かれる気持ちだけは、わかる。


でも、あんなふうに自分を失ってしまう気持ちはわからない。



「あいつ、やばいクスリでもやってんのか」


「わかりません……」


「そうか……警察には、言わないのか?」


「言いました……

でも、殴られたとか、レイプされたとか、直接の被害が無いと、動いてくれないそうです」



クソ。


どうなってんだ、この国は。


あいつらは、陸が死んだ時の捜査も、まともにしてくれなかった。


待てよ。


陸の……と言えば。


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