君と、世界の果てで


体をそっと離すと、彼女はまた驚いた顔をした。



「やめるの?」



体を起こし、そんな事を聞く。



「今日はもう、じゅうぶんだろ。

新しい事は、ゆっくり覚えるもんだ」



リモコンをつかみ、明かりを付けようとした手を、深音に止められた。



「……そんなの、やだ……」


「は?」


「……処女とはできないって言うの?」


「んな事、言ってねぇだろ……」



実は深音がいつもより子供に見えて、慎重になってしまった事は言わないでおこう。


ほら、頬を膨らませた顔は、ますます子供だ。



「もう、10時だ。帰らなきゃ」


「やだ、やだ。泊めて」


「バカ。お母さんが心配するだろ」


「何よ、さっきは、しようとしたくせに!」


「うっせえな、騒ぐなよ!」


「……バカバカバカ!!」



深音は、まだベッドに座っていた俺に、罵声を浴びせながら飛び込んできた。


< 222 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop