君と、世界の果てで


その顔を見たら。


会ったら、どんな事を話そうか、とか。


何をしてあげたらいいのか、とか。


難しく考えていた事が、全部、どうでもよく思えて。


足が勝手に動いて。


左腕で、彼女を抱きしめた。



「……!

翼、さん……!」


「…………くせっ……」


「……はい?」


「香水、付けすぎたろ、バカ……」



顔を見ると、深音はもう泣き出しそうな目をしていた。



「だって……心細かったから……」



細い肩が、小刻みに震える。



「どうして……ここにいるの……?」


「お前のママが、心配して連絡をよこしたんだ」


「ママが?」



深音は鞄を開けて、中身を探った。


チラ、と派手なピルケースとペットボトルが見えた。



「あ……スマホ、忘れちゃった……」


「はぁ……?」



やっちゃった、とはにかむように彼女は笑った。

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