君と、世界の果てで


「初めは、復讐のつもりだった。

でも、好きになったのは、本当で……」


「もう、いい……」


「良くない!

本当なんだよ?

翼さんが好きだよ。

それだけは、本当なんだよ……!」


「もう、やめてくれ……!」



深音と出会ってからの事が、映画の予告編のように。


いくつもの場面が切り取られ、瞼の裏に映った。


かけがえのない、思い出たち。


どこまで嘘で、どこから本当だったのか。


もう、わからない。



苦しい。


彼女に、一瞬でも、憎まれていた事が。


復讐の為に、近づかれた事が。


陸を死に追いやったのが、自分だった事が。


今、彼女を信じられない事が。



「何が本当か、わからねぇよ!

もう、何も信じられねぇ……っ!!」



何も、聞きたくない。


何も、見たくない。


目を閉じる瞬間。


最後に見えたのは。


深音の、絶望に立たされた泣き顔だった。


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