君と、世界の果てで
(4)謎の微笑
陸の遺体は、すぐに返却された。
結局、自殺と断定されたらしい。
俺達家族は、身内だけでひっそりと通夜を済ませた。
今日は葬式だ。
陸。
雨が降ってるぞ。
寒いな。
やっと、準備から抜け出せて。
俺は煙草を吸うために、式場の外に出た。
半年前から禁煙してたのに。
お前のせいで、復活しちまった。
どうしてくれる、陸。
煙草を一番嫌ってる紗江は、嫌味言う元気もないけどな。
ライターを鳴らすが、なかなか火がつかない。
「チッ……オイル切れか?」
久しぶりに引っ張り出したライターを、そのまま持ってきてしまった。
どうしようかな、とタバコをくわえたままライターを見つめていると。
「どうぞ」
突然、胸の辺りから声がした。
どれだけぼんやりしていたんだろう。
人が近づいたのにも気づかなかった。
「あっ……」
相手を見て、驚く。
その女は、陸の彼女。
ミオだった。