君と、世界の果てで


陸の遺体が、火葬されて、骨だけになって。


解散というところで、深音に声をかけた。



「なぁ、キミ」



しとしとと降る雨の中、黒い傘の下から、彼女は俺を見上げた。



「はい」



泣いたにもかかわらず、綺麗な顔が、目の前にある。



「連絡先、教えてもらえるか?」


「あ、はい」



彼女は小さな鞄から、白いスマホをとり出した。



「お兄様のアドレスを教えてくだされば、私がメールします」



思わず転びそうになった。


お兄様って。


それ、俺か?



「……俺は、翼だ。名前でいいから」



自分の番号とアドレスを呼び出し、彼女に渡す。


俺もだが、現代人って、こんな時も携帯持ってんだな。


彼女から返却された携帯に、すぐメールが来た。



「じゃあ、また……落ち着いたら、連絡するから……」


「はい……あの、つばっさん」


「は?今、噛んだ?」


「す、すみません……翼さん」



彼女は、ほんのり赤くなった。

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