君がいたから。





「やっぱ、鈴って美人だよなー。」





穂乃花の部屋でくつろぎながら、そんな事を口にした。





鈴は美人で、性格もいいし、優しい。





「それに比べて穂乃花は…。」





穂乃花は可愛くて、ほっとけない。





ずっとそばにいてほしいくらい、俺の大切な人。





俺の言葉に勘違いしたのか、





「どーせ、美人じゃないもん…。」





そう小さく呟いた。





"穂乃花は美人じゃなくて、可愛いんだよ。"





なんて、口が裂けても言えねーな…





「蒼はさ、お姉ちゃんのこと好きなの?」




「まぁ、好きだけど?」





鈴は姉ちゃんみたいなもんだから、別に恋愛対象じゃない。





「ふーん…。明日からお姉ちゃんに毎日会えるね!良かったじゃんっ。」





鈴に会えるのは、穂乃花と一緒で嬉しく思う。





俺が笑うと、穂乃花は寂しそうな顔をした。





穂乃花がなんでそんな表情をしたのか、俺は知る由もなかった。




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