迷子の殺人鬼
迷子
私はもう、この先子供を産みたいと望んで良いのか解らない。
ずっと、望んではいけないと思って来た。

私は子供は要らないんだ。
早く借金返して、これからまだまだ働いて貯金しよう!
子供なんて産んじゃったら今みたいに働けなくなっちゃう!

子供産んだら自分の時間が無くなる。
飲みに行ったりLIVE行ったり出来なくなるし。

そんな風に自分に言い聞かせて来た。
私は子供等欲しくないと。

そうでもしなければ、いられなかったんだと思う。

そうしているうちに、いつからか本当に要らないと思う様になっていた。
あんなに子供が好きだったのに、いつからか嫌いになっていた。

本来、女として何等おかしくはない望みを、私は持つ事が許されないんだと思う。

今でこそ、この文章をボロ泣きしながら書いているが。
恐怖体験の記憶を脳がしまい込んで、
一時的な記憶喪失になる人が居る様なものだろうか?
一時は、中絶した事を何とも思わなくなっていた。

冷酷な殺人鬼である。

だが、心の傷が消える訳はない。
奥底で、ずっと眠っていただけなのだ。

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