君から、私へ。 私から、君へ。
幼馴染







「麻緒(まお)、おはよう。」

「……梨柘(りつ)…。」


とぼとぼと歩いていた幼馴染の麻緒に声をかけると、麻緒は今にも泣き出しそうな顔をしながら抱きついてきた。


「俺ついにテストで3点とっちまったよ!!!」

「嘘…。」


昔からバカだとは思っていたけど……。


「そこまでバカだとは思ってなかったのに…。

…何の教科?」

「古典!!

どうしよう、留年かもしれない!」

「…むしろ留年して基礎からやり直した方がいいと思うよ?」

「酷っ」

「いやいや、割と本気で。」


古典なんて結構簡単なのに。


「そんなこと言うなよ!!お願いだよ!見捨てないで!!!

勉強教えてくれよ…!」


言いながら更にキツく抱きしめてくる。

…これ以上はやめてほしい、心理的な意味で心臓が持たないって言うか、物理的な意味で内臓が出そう。


「ギブ…ギブギブ…、」

「あ!?梨柘!
やめろ死ぬな!!!」


今度は肩を鷲掴みにされ、ユッサユッサと激しく肩を揺さぶられる。

ちょっ、吐く、出ちゃう、リバースしちゃう、朝ご飯食べた意味がなくなっちゃう、


「やめろ、やめてくれ、」

「あっ、ごめん!
梨柘、大丈夫か!?」

「気分的な面は全然大丈夫じゃないけどギリギリセーフ」

「よかった…!」

「いや、限りなくアウトに近いセーフだからね。
軽くアウトなんだからね。」


喉元まで朝ご飯が『こんにちは!』ってしてたんだからね。


「ご、ごめん!」
< 1 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop