first love【完】

「帰れ」義希side



「帰れ…咲希は…
お前に会いたくないって言ってる
俺も、お前の顔は見たくない…」


自分でも驚くような低く冷たい声が出たのは、後藤に咲希が傷付けられたとき以来だ。


それだけ言って俺は玄関を閉めようとした。


…*…*…*…*…*……


火曜の夜に、咲希に早まって話をしてしまったときは、泣き出した咲希を見て自分を責めた。


事実も分からないのに、むやみに咲希の不安を煽ってしまい、竜斗にも悪いなぁと思った。


だが…今日母親からメールが入ってて“咲希が不調だから、静かに帰宅するように”とあり、『何があったんだ?』と不安になってた。


そこに6時半頃携帯がなり、見ると真人だった。


「今平気か?」


「あぁ。どうした?」


「いや、今日の昼に咲希ちゃんが
熱射病で倒れてな…」


「母親からメールで聞いてる、不調って」


「ん~不調ねぇ…なんかさ、
養護教諭が言うには、最近ほとんど
飲食してねぇんじゃないかって…
あと、睡眠不足もあるだろうって…」


「最近…作ってた弁当が
やけにちいせぇなぁとは
思ってたんだ…」


「そっか、で…そもそもの原因…」


「竜斗の浮気、か?」


「浮気…じゃあないんだが…
ま、結果的には似たようなもんかな」


そう言ってから真人は先週からのことを全部話してくれた。


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