Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
第6章

【1】

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 ミサトはゆっくりと、ダウンタウンの荒れた道を歩いて いた。

 路肩にたむろしている連中から下卑た誘い文句をかけられたが、そんなことは気にせずに。

 歩を進めたその先にあるのは『AGORA』。

 この街を象徴するように荒んでいたが、ミサトにとってここは色々な思い入れがある場所だった。


「あなたが…ミサトさん?」


 店の前には女が一人、立っていた。


「そうよ」


 両手を上着のポケットに突っ込んだまま、ミサトは答える。


「会えて嬉しいわ。ずっと前から、あなたに会いたかったのよ」

「あんたが…ユイの母親っていう人ね」

「えぇ。こんな場所で立ち話もなんだから、中に入らない?」


 インホアは『AGORA』を指し示した。
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