Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】

【5】

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「…やっぱ結局ここに戻ってくることになるんだな」


 誰もいない酒場。

 しばらく手入れもされていないのか、テーブルに積み上げられた椅子やカウンターには、少なからず埃が溜まっている。

 風に煽られてぎしぎしと揺れる表の看板には、

『AGORA』

 と擦れた文字で書いてあった。

 エイジはタバコをくわえ、椅子を一つ下ろすと腰をかけた。

 足を組み、レンを見る。

 レンはカウンターの右端の辺りを、そっと手でなぞっていた。


「どうした?」


 エイジの問い掛けに、レンは聞き取れないくらいの小さな声を発する。


「あいつと初めて会ったのは…この店だった」

「………」


 エイジは何も答えずに、ふうっと煙を吐き出す。

 それは窓から差し込む太陽の光に反射した。


「はじめからムチャクチャなヤツだった…いきなり襲撃されても笑って対処するような」

「あァ、確かに、ハチャメチャな女だよな…。だがよ、レン。テメェがそんな風に言うの、初めて聞いたぜ」

「なっ…!?」


 にやりと笑うエイジに、レンは二の句を告げることが出来ない。
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