Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】

【3】

 目を開けても、周りの状況がよく分からなかった。

 というより、真っ暗闇だった。

 かろうじて、両手両足をロ ープのようなもので縛られてるのだけはわかる。


「美人な御夫人と楽しくティータイム…少し、心を許しすぎたかねェ…」


 どうも、美人にお茶を出されると疑いもなくご馳走になる癖を、直した方がいいらしい。

 エイジはよっこらしょ、と身を起こしながら、そんなことを考えていた。

 幸い、手は前で縛られていたので、タバコを内ポケットから取り出すことはできる。


「インホアさん、か…」


 火を点けて、小さく呟いた。

 どうして彼女がこんなことをするんだろう。

 ユイの母親というのは、本当なのだろうか。

 何故、自分を薬で眠らせたりしたのか。
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