Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「…二度目よね、あたしに銃を向けるのは」


 怯む様子もなく、ミサトは言った。

 そして、頭の中で納得する。

 ユイは今、こんなにも余裕がないのだ。

 それほどまで に大きな“何か”が今、動いている。

 だから、ユイは必死で。


「大丈夫よ、ユイ」


 ミサトは、ユイに一歩、近付く。


「あたしは死ぬ気はない。それに、エイジもレンも、死なせたりしない」

「………」


 銃を持つユイの腕が、微かに震えていた。

 その頬を 、一筋の涙が伝う。

 ミサトは、ゆっくりとユイを抱き締めた。


「淋しい想い、させてごめん…大丈夫だから」

「……ふ」


 ミサトの言葉に、ユイは軽く息を吐いて銃を下ろした。
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