Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「その人は間違いなく私の母よ、エイジ」

「ユイ…?」


 開け放たれたドアの前には、ユイが立っていた。

 エイジに近付き、拘束を解く。


「久しぶりね、ユイ。今あなたのお友達と楽しくお話をしていたところよ」

「…そう? それはよかったわ。でも、もうそろそろ帰らないといけない時間みたい」

「…残念ね…。もう二人のお友達とも、お会いしたかったんだけど…」


 ごめんなさい、と謝ってユイはエイジの腕を掴んで立ち上がらせた。


「お、おい…」


 親子というには、あまりにもそっけのない会話。

 このまま帰ってもいいものだろうか、とエイジは逆に慌てた。

 だがインホアは、引き止めるでもなく黙って見送っている。


「ユイ、あいつは?」

「無事よ。それに、ミサトとも合流できたわ。だけど今は、早くここから逃げるの」

「逃げるって…」


 半ば引きずられるようにして、エイジは外に出た。

 それと入れ代わるように、スーツ姿の男が数人、家の中に入っていく。
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