オレンジジュース~俺と一人の生徒~


「私、絶対できない。そんなこと・・・」



直は、携帯電話の裏に貼った中田とのプリクラをじっと見つめていた。




「俺も、できねぇな。あいつ、すげーよ。」




友達の為に、自分の恋を諦めるなんて・・・さ。


なかなかできるものじゃない。



しかも、里田が約束を守るという保障もない。




「ゆかりにだめだって何度も言ったの。でも、もう決めたからって。直の為じゃなくて、自分が前に進む為だからって言うの。」





俺も直も胸が痛んだ。


俺たちのことで、中田には心配ばかりかけていた。





「どうなるかわからないけど、もし、龍が運命の相手なら・・・また中田と・・・って思う。里田の心の穴がこれで埋まるかどうかわからないけど。中田の気持ちはしっかり伝わったな、俺たちには・・・」



「うん・・・先生。頑張ろうね。私と先生は絶対に幸せにならなきゃ、だめだよね・・・」





直も俺も、心の中がモヤモヤしていた。


俺は、さっきの娘からの電話のこともあり、

とても不安な気持ちだった。



直もまた、これでいいのかと悩み、

いつもより、元気がなかった。





< 239 / 455 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop