オオカミ系幼なじみと同居中。


「腹立つんだよな。あいつ、相田要」






旬の言ってる意味がわからなかった。

だって、要にむかつく理由が見当たらない。

腹が立つ相手なら、あたしでしょ?

確かにあたし達は一緒に住んでる。
でもほんとにそれだけの事だし、第一学校では絶対バレないように、お互い知らないふりをしてきたんだから。

それを黙ってたし、旬の優しさを利用してた。




「桜井の事、見つめすぎ」


「……へ?……誰が?」




思わず首を捻ってしまう。

「誰」が「誰」を見てるって?



「相田も桜井も、ごまかしてるつもりかもしんないけど……全ッ然、できてねえよ」



旬はあたしのおでこを小突いた。



「い、いた……」

「デコピンくらいですんだこと感謝してよ」

「ちょっと待って……話が見えない」



悪戯っぽく笑う旬。

あたしの頭はパンク寸前。
旬の袖を掴みグイグイ引っ張る。



「自分で確かめてみな……つか、俺に言わせんなよ」



旬は、目頭を押さえて泣いているマネをして見せた。
その仕草にあたしはハッとして、ほんと自分はなんて無神経な女なんだと、慌ててその手を離した。



「ごめん……」


「いいよ。俺は桜井が笑ってるほうがいい」



旬は笑ってあたしの頭をワシャワシャ撫でるともう一度強く抱き寄せた。

さっきとは違う、優しい力で。




「しゅ……旬?」

「……3分。や……1分でいいんだ。 もう少しこのままでいさせて」



そう言って、旬はさらに腕の力を込めた。








旬…………

旬……




ありがとう……

あたしはあなたに恋をしていました。


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