オオカミ系幼なじみと同居中。
*第5部*

あたしは甘い香りのするベッドの中で何も出来ずに固まっている。



「・・・んー」



耳元で聞こえる少しかすれたハスキーボイス。
あたしの体はその声に反応してどんどん熱を帯びる。




もっと。


もっとあたしを求めて。


もっと抱き締めて。



こんな感情に飲み込まれてしまう・・・




あたしは目の前の愛おしい人を見上げた。




長い睫毛。

綺麗な肌。

薄い唇。


全部独り占めしたい。



穏やかに寝息を立てている要の頬にそっと触れた。



「んー・・・やめろって」



あれ?

起きてたの?



あたしは要を見つめる。



や。違うみたい。




寝言か。


「ふふ」


あたしは可笑しくて1人笑いをかみ殺した。








「・・・・み・・・き」

「・・・・・・」





え?



『み、き?』





あたしの体が要の言葉にみるみる固まっていく。




今、その名前を口にしたの?










みさき・・・・って。


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