オオカミ系幼なじみと同居中。

・隙間を埋めるモノ。



「未央、今度の日曜デートしよ?」


「へ?」



いつものように、あたしは洗面台に立って歯ブラシを口に銜えたところだった。
突然の申し込みに、思わず変な返事をしてしまう。


声のした方へ視線を向けると、そこにはまだ寝癖のついたままの要が立っていた。



あたしは、要と目が合うと瞬きを繰り返した。
だって、最近は休みもなくてずっとバイトしていた要。



要と付き合う事になってからも、デートなんてした事ない。


めんどくさがりの要は、家でまったりするのをいつも望んでたんだから。



「……」



あたしは要の言葉が信じられなくて疑いの眼差しを向けた。



「バイト休みなんだ。
つーか、たぶんこれからは週に2回程度入ればいいと思う」



あたしの考えに気づいたのか、要は頭をポリポリと掻いた。



「そう、なんだ」



そっか。


そうなんだ。


それなら、美咲さんと会う回数も減るんだ。



あたしは、なんとなくホッとして要を見上げた。



「うん。今まで全然かまってやれなかったからなー。 だから、いっぱい遊ぼ?」



要はにっこり笑うと、そのままあたしはすっぽりと抱きすくめられた。



「……あ、ちょっと……おばさんに見つかっちゃうよ」



そう言って、要の腕をグイっと引っ張ってみる。
でも、要はさらに腕の力を強めた。




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