顔面レベル100の幼なじみと同居なんてゼッタイありえません!
――…でかいな。
軽く3mは越えているだろう。
結構有名なツリーらしく、雑誌とかに特集されてるくらいだ。
だからだろうか、このあたりはカップルばっかりだ。
クリスマスなのに、さらにこの場所に集まって来ている。
「………」
よりによってなんでこの場所をチョイスしたんだ、俺は。
わかりやすいかと思ったんだけど…。
こんなに人がいるんじゃ、余計に見つけにくいじゃないか…
「はあ…」
自分の考えのなさに溜息がでる。
とりあえず…と、俺は空いているベンチを探して腰を下ろした。
ツリーを囲むようにたくさんあるベンチ。
男1人でここに座ってるのは目立つよな。
通り過ぎる人カップルと時々目が合うのを避けるように、俺は携帯を開いた。
時計はいつの間にか6時を過ぎていた。
俺は、携帯をパチンと閉じてツリーを見上げた。
定番のクリスマスソングに合わせて、ツリーのイルミネーションが七色に替わっていく仕組みらしい。
見てるだけでも飽きない。
「…………」
聞き覚えのある曲をいくつも聴いた。
たくさんの人混みの中に、俺は彼女の姿を見つけられない。
嫌でも時計に目が行ってしまう。
時間は確実に過ぎていく。
来るのか?
“来なかったらあきらめる”
俺は彼女にそう言ったんだ…。
来ないかもしれない。
でも。
来るかもしれない。
弱ってる未央の心につけこんだんだから。
俺は卑怯だ…
間に合ってくれ…俺にチャンスをくれ…。
これが、最後の賭けってやつか……
そんなカッコいいもんじゃないけど。
祈るような気持ちで、俺は星のない空を見上げた。