オオカミ系幼なじみと同居中。
「…旬」
もう、そう言うのが限界だった。
これ以上一緒にいたら、また無理矢理抱き締めちゃいそうだ。
「旬…ありがとう。すごくうれしかった」
「……」
「…あたし…旬が好きだった…すごく好きだったよ。こんな気持ちをくれてありがとう」
未央は、そう言うと俺に背を向けて走り出した。
「……ッ」
たまわず俺は振り返った。
人混みの中に走り去る姿が一瞬見えたが、すぐに消えていった。
未央は振り返りもせず走っていった。
きっと、あいつの元へ――…
「……そんな事言って去ってくなよな…」
俺は握り締めていた両手をそっと出した。
「…これ、どうすっかな」
手のひらの中で、くしゃくしゃになった小さなプレゼント。
それを握り締めたまぼんやりしてると、鼻の頭に冷たい感触がして俺はハッとして顔を上げた。
とうとう降り出した。
聖なる夜の―――……
「…雪…」