オオカミ系幼なじみと同居中。
受話器の向こう側から聞こえて聞こえてきたのは…
「早苗…?」
『よかった。今どこ? 出でこれないかな?』
早苗の声と一緒に、賑やかな声が届いた。
すぐに、早苗が外にいるんだとわかった。
「家だけど…? どうしたの?」
『さっき、未央のお母さんに会ったよ。 年が明けたら……アメリカに行くんだって?』
「………」
あたしが答えないことで、早苗は全てわかったんだろう。
少し黙ってから、明るくこう言った。
『今から、未央の家まで迎えに行くから! 絶対出といでよ!』
「えっ? ちょっと…早苗!?」
慌てて早苗の名前を呼んだけど、もう電話は切れた後だった。
あたしは鏡に映る自分の姿を見た。
赤く腫れた瞼…。
あはは、ブサイク~…
あたしは鏡の中の自分に「イ~」っとして、クローゼットを開けた。
ちゃんと早苗と話がしたい。
話を聞いて欲しい。
そう思った。
年が明けるまで、6時間をきっていた。