オオカミ系幼なじみと同居中。


受話器の向こう側から聞こえて聞こえてきたのは…



「早苗…?」


『よかった。今どこ? 出でこれないかな?』



早苗の声と一緒に、賑やかな声が届いた。
すぐに、早苗が外にいるんだとわかった。



「家だけど…? どうしたの?」


『さっき、未央のお母さんに会ったよ。 年が明けたら……アメリカに行くんだって?』


「………」



あたしが答えないことで、早苗は全てわかったんだろう。
少し黙ってから、明るくこう言った。


『今から、未央の家まで迎えに行くから! 絶対出といでよ!』


「えっ? ちょっと…早苗!?」


慌てて早苗の名前を呼んだけど、もう電話は切れた後だった。







あたしは鏡に映る自分の姿を見た。

赤く腫れた瞼…。


あはは、ブサイク~…



あたしは鏡の中の自分に「イ~」っとして、クローゼットを開けた。



ちゃんと早苗と話がしたい。

話を聞いて欲しい。


そう思った。




年が明けるまで、6時間をきっていた。




< 261 / 301 >

この作品をシェア

pagetop