顔面レベル100の幼なじみと同居なんてゼッタイありえません!
「今日は大晦日でしょ? だからお客さんも少なくて。15分……うんん、10分でいいの。だから……」
美咲さんは、あたしの顔をじっと見つめた。
……ドキン
ドキン
ドキン
胸が、わずかに大きく波打ちだした。
「……話って、なんですか?」
あたしは美咲さんの真剣な瞳に負けないように、キュッと唇を強く結んだ。
――――……
――…
「無理言ってごめんね。 聞いて欲しいことがあったの」
「……はい」
あたしと美咲さんはカウンターに席を移していた。
さっきまでいた数組のお客さんもお店を出て行き、今はあたし達だけ。
早苗達の静かな話し声が微かに聞こえる程度で、後は落ち着いた感じのジャズがすっと耳に溶け込んできていた。
「ほんとは仕事中にこんな事しちゃいけないんだけど。今はジンさん不在だから」
「……はぁ」
そう言ってあたしに紅茶を出すと、美咲さんはその隣に腰を落とした。
あ……そういえば。
ジンさんがいない事に今更気づく。
「要にどこまで聞いてる?」
「え?」
唐突に美咲さんは話を切り出した。
ジンさんが帰ってくる前に、あたしと話を済ませたいようだ。
「どこまで……って。たぶん何もあたし聞いてません。 あ、ただ美咲さんと要は……昔……」
そこまで言うと、美咲さんは「やっぱり」と小さく息を吐き出した。
そして、静かに静かに口を開いた。
「あのね……」