オオカミ系幼なじみと同居中。


美咲さんはそう言って、カウンターの中へ戻った。
何かを知ってるみたいに。



要……
あの約束の味……

あたし達の思い出の味……だね。



それからあたしはもう一度口に含んだ。
鼻の奥がツンとして、喉の奥が焼けるように痛い。


まるで子供ように無邪気な笑顔。
挑発するようにあたしを覗き込むその瞳。
形のいい、キュッと上がってる唇。
寝癖のついた真っ黒な髪。
意地っ張りなとこ。

強引なキス。
要の温度。
あたしより、ずっと震えてた指先……


全部、全部……
あたしの中であたたかな優しさになって染みこんでいく。


要……

要……要……



――――……大好き



ダークブラウンのテーブルに、ポツリと雫が落ちる。
自分でも気づかないうちに、頬を伝う涙。

まるで、あたしの気持ちを表すように……
拭っても次から次へと溢れ出す涙。


なんで、あたしの前からいなくなっちゃうの?




「……バカ」


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