オオカミ系幼なじみと同居中。


「今すぐ俺のお嫁さんになる?」


「…………」



固まるあたし。
それを見て、固まる要。

あたしは要の目をじっと見つめながら
その言葉を口にした。





「……“20番目”じゃないよね?」

「……」



一瞬、その視線が揺らいだ。
要は「あー……」と曖昧な言葉を口にしてばつが悪そうに視線を泳がせた。




「……いつ思い出したの?」




苦笑いをしながら、要は重なっていた体を離そうとした。
あたしはそれをグッと引き止める。



「20番目のお嫁さんは嫌だから!!!」

「……」




引き寄せられて、驚いたように目を見開いた要。
でも、そんなのあたしには関係ない。


重要なのは「今」なんだ。


わかってるけど、でも聞きたい。
要の口から。



要は静かにあたしを見下ろしている。
驚いていた瞳はいつの間にか細められ、口元には笑みが浮かんだ。





それから要はゆっくりと言葉を口にした。



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