オオカミ系幼なじみと同居中。

要はゆっくり体を離した。
そして、あたしの顔を見つめたまま、頬を両手で包んで涙の痕を優しく拭ってくれた。



ドキン

ドキン



息がかかりそうな距離。

その瞳の中にまるでりんごみたいに真っ赤なあたしが映ってる。


要の柔らかな前髪が風に揺れるたびに、頬をくすぐる。


心臓がまた高鳴る。
ドクンドクンって、力の限り体全部にその血を巡らせてる。

そのせいかな?

あたし、すごく熱い……。




だんだん近づく要の顔……
伏目がちの要の視線は、なぜかあたしの口元を見てる。
顔を少し傾け、要の唇がちょっとだけ開いた。

そこから覗く白い歯が、よけいに色っぽくて……
あたしは目眩をおしそうになる。



目が開けていられなくなって、あたしはギュッと瞼を閉じた。


キス……されちゃう?



「……」



はれ?

いつまで待っても何も起こらない。



「ぷっ」



突然吹き出した要の息が唇にかかった。
びっくりして目を開ける。



「なんつー顔してんの」

「は?」



目の前には肩を震わせて、笑いを堪える要の姿があった。



「……んな……なっ」


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