黒姫

「……うん、分かった」


それでもありがとうとは言えないのは、鈴羅が瑞姫のことを好きになれないからなのだろうか。


あなたの方が不幸のくせに。
私より幸せそうな雰囲気にならないで。
私を惨めにさせないで。


なんて自分勝手な感情。


自然と俯いた鈴羅の肩に、腕が回った。
見上げると、真奈が後ろから鈴羅を支えている。
目が合った真奈に励ますように笑いかけられて、鈴羅は泣きそうに歪んだ表情で笑った。

何で泣きそうなのかはわからない。
でも、泣かないでいることは出来そうだった。

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